小さな恋【完結】

慌てて床の上のバッグに手を伸ばす。


「あ……」


携帯を開いた瞬間、口から思わず声が漏れた。


電話は大知からだった。


ディスプレイに映る大知の名前。


2年ぶりにかかってきた、大知からの電話。


呆然と携帯を握りしめるあたしに近付くと、一哉は画面を覗き込んだ。


「大知って……もしかして、元カレ?」


声を出すことすら出来ずに小さく頷くと、一哉はあたしの携帯をパッと取り上げた。