「目の前でイチャイチャすんなって。真依子ちゃんもなんとか言ってやってよ?」
先輩に見つめられると、胸が熱くなって全身が脈打つ。
「えっと、……あたしはちょっぴり羨ましいです!」
「え?」
「あたし、今彼氏いないんですよ。だからりっちゃんとケンちゃんが羨ましくて!!」
あたしの言葉にケンちゃんがいち早く反応する。
ケンちゃんは横に座る一哉先輩のわき腹をつつきながら、満面の笑みを浮かべた。
「だってさ~。よかったな、一哉~?」
「ケン。お前、うるさいから」
ケンちゃんから顔を背けて髪をいじるその横顔がわずかに赤く染まっているような気がして。
嬉しいのに、恥ずかしい。
ちょっぴり不思議な気持ちになる。



