「じゃ、最愛の里奈とその親友の真依子ちゃんの入学を祝して、乾杯~!!」
それぞれの飲み物が運ばれてくると、ケンちゃんはグラスを高々と持ち上げた。
ケンちゃんの声は予想以上に大きくて。
近くにいた客がギョッとした顔でこちらを見る。
「ちょっと、ケンちゃん!声大きいって!!」
「あぁ、……悪い悪い。じゃ、乾杯~――……!」
りっちゃんに一喝されて、遠慮がちに音頭をとったケンちゃん。
あたし達は苦笑いを浮かべながら、それぞれのグラスを合わせた。
「めでたいなぁ~。一年間だけでも、里奈と同じ学校に通えるなんて、俺、嬉しくて涙出そう!!」
「あたしも嬉しい!ケンちゃんと一緒にいられる時間増えるしねっ?」
幸せそうな二人のやり取りを横目に、あたしは正面に座った一哉先輩を見た。



