小さな恋【完結】


「そういうのは、あたしじゃなくて繭ちゃんに頼んだ方がいいよ。繭ちゃんは大知の彼女でしょ?」


自分で言っておいて、その言葉に傷付いてるなんて。


バカバカしくて泣きそうになる。


あたしにも大知にも。もうちゃんと相手がいるのに。


大知は首を横に振る。


「あいつじゃダメなんだ。真依子じゃなきゃ。唯も真依子に会いたがってるからさ」


「だけど……――」


「今日、頼むな!!」


「……ちょっと!!大知……――!!」


大知は一方的にそう告げると、クルりと背中を向けて自分の教室に入っていった。