小さな恋【完結】

「……急にどうしたの?」


廊下にいる大知に近付いて声をかける。


冷静を装っていても、声が震える。


ダメ、しっかりしなきゃ!


あたしは自分自身を励まして、しっかりと大知の目を見つめた。



「悪いんだけど、今日の夜だけ唯の面倒見てくれないか?こんなこと頼めんの真依子しかいなくて」


大知は申し訳なさそうな表情で両手を顔の前で合わせる。


え……?唯ちゃんの……?


「唯ちゃんの面倒って?」


「あいつ、ちょっと具合悪くて。俺が看ててやりたいんだけど、今日はどうしてもバイト休めなくて」


顔色の優れない大知を見て、不安に駆られる。


前よりいくらか痩せた気もする。


大知……ちゃんとご飯食べてる?


バイトばっかりしてるみたいだけど、寝る時間ある?


……無理してない?