小さな恋【完結】

「真依子、ちょっといいか?」


教室の扉から顔を出しながら大知があたしに向かって手招きする。



突然のことに、足がすくんだ。


ここ数カ月、あたしは大知を避けていた。


大知もまたあたしを避けているようだった。


同じ学校にいるのに、赤の他人みたい。


名前も呼ばない、目も合わさない、声もかけない。



きっと、そうすることで自分の気持ちをコントロールしてたんだ。


大切にしてくれる一哉を裏切っちゃダメ。


もう、誰一人として傷つけたくはないから。