まるで、スローモーションみたい。


瞬きをする間もなく、唇に届いた温かい感触。


それが先輩のキスによってもたらされたと気付いた時、二回目のキスが降ってきた。


唇と唇が触れ合うだけの軽いキス。



「……――俺と付き合ってくれない?」


唇を離した先輩は、呆然とするあたしの髪を優しく撫でる。


「あたし……――」


「真依子ちゃんは元カレにまだ未練があるんだろ?知ってるよ」


「じゃあ……」


「俺じゃダメ?俺が元カレのこと、忘れさせるから」



真っ直ぐ見つめられると、心臓が爆発してしまいそうだった。