小さな恋【完結】

「あたしはいいです!先輩がここで寝てください!」


「いや、そんなことは出来ないって。俺は本当に大丈夫だから」


「……でも……」


お互い一歩も引かずに布団を譲りあう。


すると、先輩は観念したのかある提案をした。



「じゃあさ、もし真依子ちゃんが嫌じゃなかったら、一緒に寝ない?」


「……え?」


「もし嫌なら、帰るから。ここから家までそんな距離ないし。どうする?」


全てを任されたあたしはただ俯いて考え込んだ。



先輩と一緒に同じ布団で眠るということが、想像できない。


恥ずかしい気もするし、何故だかちょっぴり怖い。


悪いことをする前みたいな……不思議な気持ち。


まさか……罪悪感……?


だとしたら、誰への?お父さん?お母さん?それとも……大知?


あたしは頭に浮かぶいくつもの考えを振り切った。