小さな恋【完結】

「そろそろ入ろうか?付き合わせてごめん」


煙草を吸い終えてしばらく星空を眺めた後、先輩はベランダの窓を開けた。


満天の星空の下にいる間だけ、大知のことを忘れられた。



「そろそろ寝る?」


部屋に入ると、先輩は押し入れの中から慣れた様子で一組の布団を取り出した。


転がっていた缶をテーブルの上に乗せて部屋の隅に押しやる。


空いたスペースに布団を敷き終えると、先輩はポンポンっと布団を叩いた。


「ここで寝て?」


「でも……先輩は?」


「俺は適当に寝るから大丈夫だよ」


6畳ほどのケンちゃんの部屋。


布団は一組しかないし、あたしが布団で寝たら先輩はどこで寝るの?


ベッドとテーブルがほぼ大半を占めているこの部屋で、先輩の寝るスペースなんてない。