小さな恋【完結】

「眠くない?」


時計の針はもうすぐ午前1時を回ろうとしていた。


瞼が重くなってきたのは、そのせいかも。


「……先輩は眠いですか?」


「いや、俺は大丈夫だけど」


「じゃあ、あたしも起きてます」


あたしは膝を両手で抱え込むと、先輩にニコッと笑いかけた。



『恋のいたみは、新しい恋が解決してくれるもんだって』


りっちゃんの言葉が蘇る。


スッポリと空いてしまった心の穴は、また塞がるのかな……?


新しい恋をすれば……この胸の痛みは和らぐの……?



「そっか。俺、ベランダで煙草吸うけど真依子ちゃんはどうする?待ってる?」


「あたしも行きます」


灰皿片手にベランダに出た先輩の後を追って、あたしもベランダに出た。