小さな恋【完結】

部屋の中にりっちゃんの寝息とケンちゃんのいびきが交互に響く。


あたしはテーブルの前まで座ったままズルズルと移動すると、先輩に目を向けた。


「一哉先輩ってお酒強いんですね?全然顔にも出てないし」


先輩の横には5本のビール缶が並んでいる。


ケンちゃんとりっちゃんは3本でこの有様だ。



「うん。父親譲りかな。でも顔に出ないのは体に悪いらしいよ?」


「そうなんですね」


相槌を打ちながら、ふと部屋の掛け時計に視線を移す。