小さな恋【完結】

「それ、俺にちょうだい?」


すると、パッと大きな手が差しだされて缶が目の前から消えた。


「無理して飲まなくていいよ?ケンはすぐ人に勧めたがるし」


「……一哉先輩……」


一哉先輩は気付いてくれていたんだ。


あたしがお酒を飲むのをためらっていたことに。



「これ飲みなよ」


「……はい」


先輩から手渡されたオレンジジュースを口に含むと、先輩の優しさが身に染みた。




「ケンちゃーん!酔いすぎだから~!」


「俺は酔ってねぇよ!酔っ払いは里奈だろ~?!」


異常なテンションの二人。


酔っ払ってしまったケンちゃんとりっちゃんを見て、一哉先輩は露骨に溜息をついた。