小さな恋【完結】

「はい!これが真依子ちゃんの分ね~!!」


ケンちゃんはコンビニ袋から取り出した缶チューハイをあたしに手渡す。


それを受け取ると、急に不安に駆られた。


慣れないお酒を飲んで気分が悪くなっちゃったらどうしよう。


もし吐いてしまったら、場の雰囲気を悪くするのは間違いない。


でもここで「飲めない」って言えばもっと場の雰囲気を悪くすることになるし……。


あぁ……。困ったなぁ。



「あ~、マジうめぇー!!」


ケンちゃんはビールを飲みながらおじさんのような声を上げる。


一本、二本、三本……。


ケンちゃんとりっちゃんと一哉先輩は物凄いペースであけていく。


「ハァ……」


やっぱり、無理してでも飲まなきゃか……。


あたしは仕方なく缶のプルトップにそっと指をかけた。