小さな恋【完結】

先輩が煙草を吸っているのを知っていたあたしはさほど驚かなかった。


制服のポケットからライターが顔を出していたことが、何度かあったから。


「よし、みんな揃ったし酒でも飲もうぜ?」


「いいね~!!」


りっちゃんはケンちゃんの提案を呆気なく受け入れた。


どちらかというと、すごく乗り気で。


当のあたしはお酒なんて飲んだことがなくて。


まだ幼い頃、ペロッとお父さんのビールを舐めて懲りた。


まず、あの匂いがダメ。


口に入れた時に広がるあの特有の苦み。


喉と舌がピリッと痛んで、二度と飲まないと決意した。