「何で泣いてんの?」 俯いたまま歯を食いしばって涙を堪える。 こんなところ、大知に見せちゃダメ。 あたしが今すべきこと。 それは、笑顔で大知と繭ちゃんを祝福してあげることなんだ。 「……大知……」 「どうした?何かあったのか?泣いてちゃわかんねぇよ」 あたし達の横を不思議な顔で通り過ぎていく生徒達。 「ちょっと、こい」 大知はあたしの腕を引っ張り、廊下の隅に連れてきた。