大知は、ちゃんとあたしのことを考えてくれていたんだ。


いつだってあたしのことを。



ロッカーから取り出した古ぼけたホウキを掴んだ途端、涙が溢れた。


唇が震えて、息をするのが苦しい。


ポロポロと頬を伝う涙。


あたしはそれを拭うことも忘れてただ泣き続けた。


「ごめんね……大知。ごめんね……っ……」


大知の気持ちを知っていながら、繭ちゃんを紹介するなんて。


あたし、最低だよ。