【海斗目線】
俺にはまだ雛那ちゃんに言っていない事がある。
リビングへ行くと雛那ちゃんの姿が見つからなかった。
なんだか奥の方から声が聞こえる。
「雛那ちゃーん」
俺はその声の方へ近づいて行くとはっきりと聞こえる。
雛那ちゃんと…兄貴?
「最後に…1ついい?」
「はい…」
「海斗の事“後少し”よろしくね」
「後少し?」
ヤバい。
その事は…
「兄貴!!」
俺は雛那ちゃんがいるのに怒鳴ってしまった。
兄貴はバツが悪そうな顔をしている。
兄貴の話を聞いて雛那ちゃんがどれ位気づいたかは…
分からない。
雛那ちゃんを見ると俺が急に怒鳴ったのが相当怖かったのか体を小さくして震えている。
ゴメンね。
ゴメンね。
怖い思いさせちゃって。
俺は雛那ちゃんを自分の部屋に連れて行き少し休ませてあげた。
こんな思いをさせるくらいなら連れてこなきゃよかった。
俺は眠ってしまった雛那ちゃんを残してリビングへ戻る。
「海斗、お前何も言っていないのか?」
「そうだよ…」
「何で?相当好きなんだろ」
「言ったら…雛那ちゃんは泣くよ。
絶対――――」
「言わないで行ったって変わらないだろ」
「俺を直接見ないだけマシだろ?」
雛那ちゃんは泣いてしまう。
俺がもし…



