母の様子に異変を感じるようになったのは、20年間勤めた病院の看護助手を退職して2年後の夏頃からでした。

幼い頃から苦労続きで、夫と離婚してからも女手一つで二人の息子を育て上げた気丈な人でしが、8年前に脳梗塞を患ってから、最後は意思の疎通も出来ない植物人間状態になってしまいました。

病院を退職後はやっとのんびりとした老後を過ごせる筈だったのに、一寸先は闇とはまさにこのことでしょう。

母は多少血圧は高かったものの健康には自信があり、病気らしい病気等したことがなかった為にそれがあだになったのでしょう。

60歳で病院を退職後も体力に自信があった母は、シルバー人材センターの紹介でパ−トに出るのでしたが、職場でのいじめに合い長続きはしませんでした。

自分のやり甲斐をなくした母はそれからは自宅に引きこもるようになり、昼間から好きなお酒を飲んで過ごす毎日が続くようになりました。

そんな日々が半年程過ぎた頃から母の調子が悪くなってきました。

食事もあまり食べなくなり、同じ言葉を繰り返し言うようになってしまったのです。