「元気になったな」


寝台の上に起き上がっているクリスの側に行ったルーファスが言う。



「はい 大変お世話になり、ありがとうございます これから宿屋に戻ります」



動けるようになったら城を出て行こうと決めていた。



ちょうど国王陛下がいるのは都合が良くクリスは言っていた。



クリスの言葉にルーファスが顔をしかめた。



「ガラム、宿屋に戻れるくらいになったのか?」



「いいえ まだです 1人でふらつかずに動けるようになったという位で、無理をすれば熱が出ましょう」



「大丈夫です!もう大丈夫です!」



クリスは首を横に大きく何度も振った。



「聞きたい事がある」



「は……い?」



「お前を育てた爺さんは血がつながっていたのか?」



「俺をずっと育ててくれていたんだ 血がつながっていなくては出来ない事です」



そう話すクリスは懐かしそうな顔になった。



自分の事は自分で見ろと、そっけなかった。口も悪いし剣の稽古ばかりさせられて生傷が絶えなかったが優しい面もあった。



「そうか」



ルーファスはここで話を止めた。



ほぼ回復したものの、あまり話をして疲れさせてしまわないようにとガラムから前もって話があったからだ。