額に自分の手を置いたとき、キースが目を開けてクリスを見た。



「ん、起きたのか」



立ち上がり寝台の側まで近づいてくる。



背の高さと見たことのない騎士の服を着ているせいか威圧感を感じる。



ああ……だからあの男たちにも余裕の態度だったんだ……。



「気分はどうだ?」



「ほっといてくれ あっちに行けよ」



キースの瞳から逃れるようにそっぽを向く。



視線から逃れた時、ガシッと両腕を掴まれてクリスは悲鳴を上げた。



「そんな言葉は許さない」



クリスに覆いかぶさるようにして腕を掴みキースは睨んでいる。



「は、離せっ!」



懐かない子犬のようでキースはイラッとしたのだ。



痛みで服従させるのも一つの手だ。



「ここは城だ 言葉遣いを直せ お前は女だ」



「はっ!離せっ!」



痛みを堪えてクリスの頭が持ち上がりキースの腕をがぶり噛んだ。



驚いた拍子にキースの腕が離れてその隙に寝台の上を転がるようにして逃れる。



肩から荒い息をしてキースを睨んでいる。