クリスは汗をびっしょりかいて目が覚めた。



なんだったんだろう……。


嫌な夢を見た……。


目を覚ました今、夢は何も覚えていなかった。



「お目覚めですか?」



寝台には天幕がかけられてあってその向こうから女性の声がした。



「え……あ……ああ」



返事をすると天幕が引かれた。



「私はリリアと申します 貴方の世話係です それともう1人」



その女性の後ろにもう1人若い娘が立っていた。



「この娘が主に世話をします カミラです」



紹介された娘は深くお辞儀をしていなくなった。



「まあ、すごい汗……」



額から汗が流れているのを見てリリアは驚いた。


きれいな布でクリスの額を拭こうとすると顔をそむけられる。



「自分でやる……」



そう言うものの、顔は痛みを堪え辛そうだ。



「具合が悪いのですね?今ガラム様に」


後ろに控えていたカミラに頷くと、カミラは部屋を出て行った。



「ただ今、着替えを持ってまいります」



濡れた服が身体に良くない事は分かっている。



クリスは首を横に振りたかったが黙ったままにした。