「何でお前だけいるんだよ」


物凄くいやな顔をするクリスにキースは肩をすくめた。



「逃げるだろう?」



「……逃げない」



今の自分ではあの扉まで歩けるかも分からない。



「少しは利口なんだな」



バカにした言葉にクリスはカチンとなる。


「っ!なんで絹商人のお前が国王陛下といるんだよ!それにお前に良く似た生意気な女」



「あー 俺は……シェルトランドの騎士なんだよ」


騎士団長だという事はまだ知らなくてもいいだろう。


「俺に似た女は双子の妹イレーヌだ」


「双子……」


どうりで似ていたはずだ。


「あとでまた話しに来るからもう寝ろ」


キースはそう言って出て行った。



キースが出て行くと張っていた気が緩み、クリスは目を閉じた。