「おんな……?」


取り押さえていた騎士はポカンと呟いた。



「お前はバカかっ!?」


キースは手首をつかみ、怒鳴っていた。



「っ!……離せっ!」



クリスはどうにかして逃れようと身体を動かす。



「キース!」


イレーヌの声に、キースやルーファスが振り返る。


イレーヌのそばにガラムが立っていた。


クリスの状態を見たイレーヌは舌打ちしてクリスに近づく。


「あなた!ここまで来られる状態じゃないでしょっ!?」



「キース殿 彼女を早く部屋へ」



ガラムがクリスの状態を見て言う。



顔は蒼白で瞳に力がなかった。


しかし、まだ逃げようとつかまれた手を振りほどこうとしていた。



外套に血が滲み始めている。



傷口が開いてしまったようだ。