「いったい……どこへ……？」


イレーヌはあ然として呟いた。


２人が行くと寝台の上はもぬけの殻だった。



「あの状態では歩く事も出来ないようだったのに」



「まだそう遠くは行っていないでしょう　探しましょう」



その頃、２人の騎士が庭でふらふらとまるで酔っ払いのように歩くクリスを見つけた。



キースの外套を引きずりながら。


「怪しい奴！」


その声はクリスの耳には届いていない。


朦朧とする意識の中で、ここから離れようという意志と気力だけで歩いていたのだ。


背後に衝撃が走った。


騎士に取り押さえられたのだ。


その時、腕の傷口に騎士の腕が当たり、クリスは悲鳴を上げた。


「うわぁーーーーっ！！！」


その痛みで朦朧とした意識が戻ってくる。