「どうしてここが?」



手前の寝台の上に起き上がったキースは両手を高く上げて伸びをした。



「皆が噂話に花を咲かせているよ?」



ロイはにっこり笑ってキースを見る。



「噂話?」



まったくわからないと言った表情だ。



「怪我をした恋人を連れて来たのでしょう?」



礼儀正しく育てられた王子はキースの後ろの寝台を覗き込もうなどとはしない。



本当はどんな人なのか知りたくてたまらなかったのだが。



「恋人じゃないですよ?」



「えーーーーーっ!?皆が噂しているのに」



ロイの顔が落胆した表情になる。



「事実だから仕方がない」



苦笑いを浮かべたキースだ。



そこへ昨晩の薬師が現れた。



ロイを見ると深く頭を下げ朝の挨拶をした。