「華奢な身体なのにどこからこんな力が……?」


薬師は目を見張る。


鍛錬で鍛えた男でも気を失ってしまうだろう。


「眠らせる事は出来ないのか?」


「ガラム様ならば痛みを伴わずに眠らす事ができましょうが・・・この方を眠らせるとするならば腹部を――」


「これ以上、痛みは増やしたくないぞっ!」



薬師が言わんとする事を察してキースは顔を歪めた。



§ § § § § §



イレーヌの執務室にいるカイナンは先ほどのキースの事を言おうか迷っていた。



感の鋭いイレーヌは眉を上げた。



「私に何か言う事があるのか?」



「……やっぱりイレーヌ副団長には隠せませんね ここへ来る前にキース団長が医務室に行くのを見かけたんです」



「キースがっ!?怪我をしているの?」



「いえ、走っていましたから大丈夫かと……」


余計な事を言ってしまったかとすぐに後悔する。