「っ！離せっ！」



肩をがっしり掴まれて身動きが取れない。



「キース、どうして祭壇にいないの？それにクリスちゃん、知らない奴と結婚できないって……」



沙羅が不思議そうに聞く。



キースの隣に正装したルーファスもいる。



「くそっ！離せよっ！」



「まったく本当にじゃじゃ馬なんだな」



腕が自由にならないクリスは足を動かしなんとか離れようとしている。



「クリスちゃん、そんなにキースが嫌なの？」



ふと聞こえた沙羅の言葉に一瞬、動きが止まる。



「サラ様、何を言って……？」



クリスは沙羅の言っている事が分からなかった。



「やだ、ルーファスもキースも……リリアまでクリスちゃんに相手を教えていなかったの？」



沙羅はあっけにとられ、ルーファスとキースの顔を交互に見る。



激しく動いたせいなのか、気分が悪くなる。



酸欠状態に近い状態で、喘ぐように息を吸う。