それから身体が良くなってもキースに会えずじまいだった。



隣の国へルーファスと沙羅、キースをはじめ騎士たちが外交に行ったからだ。



ルーファスたちはいないが、クリスの婚礼の用意は着々と進められていく。



婚礼の儀に着るドレス、その他のドレスなど、考えられないほど用意がされる。



昼間はリリアによる言葉のやマナーのレッスンで、夜になると疲れ切って何も考えずに寝る。



いや、考えたくなかったのだ。



自分が嫁に行く、見知らぬ男の元と2週間後には暮らすなど、考えたくなかったクリスだった。