「クリス、行くぞ」



いつの間にか一休みの時間が終わったらしい。



キースの呼ぶ声にクリスはハッと顔を上げた。



顔を上げると、口元に笑みを浮かべたキースが立っていた。



「ぁ、ああ……」



立ち上がった途端に目の前が暗くなり身体が揺れた。



「お、おいっ!」



力なくその場に倒れそうになると、キースの腕に抱き止められる。



キースの手……気持ちいい……。



キースの手が熱を測る。



「……熱がぶり返した……」



まずいな……俺のせいだろうな……。



愛し合ってしまったことをキースは後悔した。



「……そうなのかな……頭がくらくらするだけだよ」



立ち上がろうとすると、身体が浮いた。



「カイナン!小屋から毛布を持ってこい」



近くにいたカイナンに指示すると、自分の馬の背に軽々とクリスを乗せた。