抱え込まれて眠れるはずがない。



俺の心臓は早鐘のように打ち、キースに聞こえやしないかヒヤヒヤだ。



そんなことを思っていると、キースの規則正しい寝息が聞こえてきた。



こんなに俺はドキドキしているのに……。



キースにキスされたことが、夢のように思えてくる。



こいつは女ったらしだったもんな。



俺みたいな男女には何とも思わないんだろう。



あれはキースを怒らせた罰だ。



時折、ガタガタとする風の音もキースの腕の中で気にならなくなった。



§ § § § § §



眩しさで俺は目を開けた。



ハッとして隣を見ると、キースの姿はなかった。



もう起きているのか?



俺は起き上がり伸びをすると、キースを探しに出た。