キースは爺さんの寝台で眠っていた。



けっこう神経は図太いんだな……。



いくら騎士団長とはいえ、良家のおぼっちゃんだ。



こんな薄汚い所で寝られるキースを見直す。



爺さんの寝台に近づき、寝台を背にして床に腰を下ろす。



ここなら安心して眠れる。



クリスは膝に頭を乗せて目を閉じた。



その時、身体に腕が回されてグイッと持ち上げられた。



「うわっ!」



驚いて叫んだ時にはキースの顔が目の前にあった。



「そんなところで眠れないだろう?」



薄明かりの中、キースが可笑しそうな笑みを浮かべている。



「キース……」



反発したいのを堪えると、身体を押し倒された。



「何もしないから寝るぞ」



そう言うと、キースは俺を抱え込むようにして目を閉じた。