「どうして追いかけてきたんだよ 俺なんか、どうでもいい存在だろ」


クリスは気を取り直して尋ねる。



「どうでもいい存在なら追いかけてこない ここに女一人では住めない 城へ帰るぞ」



「城に戻ったら知らない男と結婚させるんだろ!そんなのごめんだ」



話を思い出したクリスの青い瞳が怒りを見せる。



「お前は王女だ、それ相応の男と結婚すべきだ」



「ふざけるな!お前たちのいいなりになんかならないっ!」



クリスは苛立ち、自分の寝室へ向かった。



寝室へ入るとバタンと大きな音をたてて扉が閉まる。



キースは深いため息をつき、側にイスに腰掛けた。





寝台に腰を下ろしたクリスは両手を顔で覆った。



祖父だと思っていた男の手紙がショックだった。



でもキースの言うとおり、爺さんが助けてくれなければ俺は……死んでいた……。