鍛錬所に赴いたルーファスはキースの姿を探した。



しかしいると思われたそこにはキースの姿はなかった。



きびすを返し、ルーファスは厩に向かった。



たくさんの厩舎があるが、ルーファスとガラム、キースの馬がいる特別な厩舎がある。



足を踏み入れるとキースの愛馬の隅で仰向けに寝ているキースを発見した。



感覚の鋭いキースは気配で目を開けた。



「陛下 珍しいですね 遠乗りですか?」



起き上がり自分の馬の首をポンポンと叩く。



「お前に用だ」



「俺に?」



馬を撫でる手が止まる。



「クリスが出て行った」



「なんだって!?」



「……どうするんだ?」



「どうする?」



ルーファスの質問が分からないと言った風だ。



「惹かれているんだろう?」


「……」



「追いかけてなだめてはどうだ?まだ身体も十分に回復していないらしい」



傷のせいもあるが、山小屋で暮らしていた時は十分に栄養がある食事を採っていなかったようだ。



「少し出かけてきます」



愛馬の手綱を取るとひらり、身を躍(おど)らせ背に乗った。