「陛下は?」



「ええ おりますよ」



リリアはルーファスの執務机の前に立ち、優雅にお辞儀をした。



「どうしたんだ?」



「クリス様がいなくなったのです 今朝、侍女が起こしに行き気づきました」



「出て行ったのか……」



行動力があるという事を忘れていた。



「出て行ったのなら放っておけば良いでしょう?」



ロイドが言う。



「ロイド様っ!?なんてことを!」



自分の夫の冷たい言葉に、リリアが驚き声を上げた。



「今は無き王国の王女であっても今はただの人です 陛下が気にすることはありません」



「まだお身体が治ったわけではないのに……」



冷たい夫を見てからルーファスに戸惑いの瞳を向けた。



何か考えているのか、ルーファスは黙ったままだった。