高いヒールの靴に足にまとわりつく長いドレス、顔は塗りたくられてごわごわしているきがするし、どこをどう取ってもクリスは不満だった。



おまけに髪も今までにやったことのない半分、結いあげられ残された髪はそのまま垂らされ、時々巻き毛が頬をくすぐる。



いつもは一つにして後ろで結んでおく髪型が邪魔にならなくて好きだった。



なぜこんな格好にならなければいけないんだ?俺は姫じゃない。




リリアとカミラに付き添われてルーファスの執務室に向かう。



途中、何度転びそうになったことか……。



そのたびにリリアの腕に支えられる。



そんなクリスを見てリリアは沙羅がこの国に来た最初の頃を思い出した。



あの時、サラ様もなれない靴に転びそうになっていた。



リリアは思い出して笑いをかみ殺した。