――キーンコーン、カーンコーン。



下校時刻のチャイムが校内に鳴り響く。



夕日でオレンジ色に染まる教室の中、クラスメートたちは、それぞれ仲良しの友達同士で集まって、明日からの修学旅行の話で盛り上がっている。



あたしには、そういう仲良しだっていえる友達がいない。



それでも、小学校や中学の頃みたいにイジメられるよりは、全然マシだった。



高校生になり、昔のあたしを知る人はほとんどいなくなって、イジメは終わった。



1年の時も、いまの2年のクラスも、クラス内にイジメはない。



あたしが自分から話しかければ、クラスメートたちは笑顔で答えてくれる。



無視する人もいない。



修学旅行の班を決めるのだって、別に仲良しでもないあたしを快く一緒の班に入れてくれた女子たち。



イジメられていた過去を思うと、いまは本当に穏やかな毎日だ。



それでも“仲良しの友達”と呼べる人を作りたいとは思えなかった。