☆凜side☆
――――――……
朝、学校に行く。
放課後はお母さんの病院へ行って、面会時間が終わるまで病室で過ごす。
そのあとバスで家に帰る。
あたしの毎日は、その繰り返しだった。
お母さんが入院してから、3週間が過ぎていた。
お母さんの病室は個室へと移動し、食事をすることはなく点滴になった。
たまに水を飲んだり、
あたしが学校帰りに買っていく果物やゼリーをほんの1、2口食べる程度だった。
お母さんは1日中ベッドの上でしか過ごすことが出来なくなり、
なにか移動が必要な時は車イスに乗せてもらう。
痩せ細っていく体、みるみる弱っていくお母さんを、
こうしてそばで、ただ見ていることしかできないのが、本当につらくてたまらなかった。
でも、お母さんの前で絶対に泣かない。
お母さんの前では悲しい顔を見せない、つらくても笑顔でいる。
お母さんが自分の本当の病気に気づいてしまわないように、
あたしは最後まで嘘を突き通す。
そう心に決めたから。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)