その日の昼休み、俺はクラスのやつらとグラウンドでサッカーをしていた。
「俺、少し休憩」
そう言って俺はグラウンドの隅に歩いていき、地面に座り込む。
すると、くぼっちもサッカーを抜け出して、こっちに走ってきた。
俺の隣に座るくぼっち。
「何か悩みがあるなら話してみな」
そう言って、俺の頬をくぼっちは人差し指でグリグリ押してくる。
「くぼっち……イイやつだな、惚れるわ」
「だろー?でもな、俺のモテ期、小5」
「マジいらねー、その情報」
俺が笑うと、くぼっちはマジメな顔で聞く。
「咲下のこと?」
「うん……元気ないよな?」
「そうか?普段と変わんなくね?まぁ珍しく授業に遅刻してきたけどな。今頃、職員室で担任に説教されて昼休みつぶされてんじゃねーの?」
俺は大きなため息をつく。
「心配なら助けにいけば?咲下のこと」
「どーやってだよ?」
「担任の胸ぐら掴んで“俺の大好きな咲下にタラタラ説教すんなー!”って」
「言えるか、アホ」
「冗談だよ」
冗談かよ……。少し本気で考えちゃったじゃん。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)