逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



遅刻ギリギリの時間までバス停の近くで待っていたけど、結局、咲下には会えなかった。



学校に着いて、教室を見回してみても咲下の姿はない。



「橘、おはー」



クラスメートのくぼっちが俺の元にやってくる。



「おはよ」



「どした?橘、なんかあった?」



「え?別に普通だけど」



くぼっちはニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む。



「もしかしてデートの誘い断られた?」



「なんか……デートとか誘う雰囲気じゃないかも……」



「なんで?」



「んーなんとなく」



――キーンコーン、カーンコーン。



チャイムが鳴り、担任が教室に入ってきた。



「みんなー、席につけー。出席とるぞー」



結局、咲下が登校してきたのは、3時間目の授業が始まる前だった。