逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





ペンションの中を探したけど彼の姿はなく、あたしは外に探しにいく。



辺りはまだ暗い。



橘くん……どこ……?



どこに行ったの?



あんな夢を見たから……あたし怖くて……。



不安だよ……。



近くの砂浜のほうへ走っていくと、砂の上にしゃがみこむ彼の姿を見つける。



ここにいた……よかった……。



橘くんの姿を見つけて、ホッと胸を撫で下ろす。



こんな夜中に、ここで一体何してるんだろう……?



あたしは、橘くんのほうに歩いていく。



何気なく振り返った彼が、あたしがやってきたことに気づき、立ち上がった。



「咲下?」



橘くんは、あたしのほうに慌てて走ってきた。



「えっ……ちょ、どうしてここに?」



目の前に立った橘くんの顔を見て、あたしは思わず彼に抱きついてしまう。



「ど、どした……?」



目が覚めて、隣に橘くんがいなかったから。



寂しかったよ……。



怖かった……。



彼はあたしの背中をポンポンと優しく叩いて言った。



「本当は朝になったら、ここに咲下を連れてくるつもりだったんだけどな」