☆凜side☆
あたしは、学校からそのまま北十字病院へ向かった。
ケータイにかかってきた電話は病院からで、
お母さんの検査結果が出たので、担当医師からあたしに話があるという電話だった。
この1週間、ずっと不安だった。
学校が終わってから、病院の面会時間が終わるまで、毎日病室に通った。
夜もあまり眠れなくて、家にいても、学校にいても、お母さんのことばかり考えてた。
早く具合がよくなって、家に帰ってきて欲しい。
家にお母さんがいないと、寂しいよ……。
「ふー……っ」
病院の診察室の前に立ち、気持ちを落ち着かせるために大きく息を吐き出す。
――コンコン。
診察室のドアをノックした。
「はい」
中から医師の声が聞こえる。
「咲下です」
「どうぞ」
――ガチャ……。
ドアを開けると、お母さんの担当医師と看護師が中にいて、あたしはふたりに向かって軽くお辞儀をした。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)