逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





そして、辿り着いたこの場所。



君のいる場所に帰ってきた。






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砂浜にいる橘くんの姿を

私はしばらくの間、遠くから見つめてた。

そんなあたしに気づいた橘くんは、

「おかえり」

そう言って、優しい笑顔で。

あたしを抱き締めてくれたね。

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このノートに書いたことを……いつか、ちゃんと自分の口から橘くんに話したい。






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あたしにはもう

家族と呼べる人は、いません。

大好きなお母さんも、

最後まで傷つけ合った父親も

この世界からいなくなりました。



でも、ひとりぼっちじゃなかった。

橘くん。

これから先もずっと。

あたしのそばにいてくれますか?

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――ガチャ……。

部屋のドアが開き、オーナーと庭で作業をしていた橘くんが部屋に戻ってきた。



「咲下ー?」



橘くんの声が聞こえて、あたしはノートを閉じて枕の下に隠した。