そして、辿り着いたこの場所。
君のいる場所に帰ってきた。
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砂浜にいる橘くんの姿を
私はしばらくの間、遠くから見つめてた。
そんなあたしに気づいた橘くんは、
「おかえり」
そう言って、優しい笑顔で。
あたしを抱き締めてくれたね。
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このノートに書いたことを……いつか、ちゃんと自分の口から橘くんに話したい。
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あたしにはもう
家族と呼べる人は、いません。
大好きなお母さんも、
最後まで傷つけ合った父親も
この世界からいなくなりました。
でも、ひとりぼっちじゃなかった。
橘くん。
これから先もずっと。
あたしのそばにいてくれますか?
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――ガチャ……。
部屋のドアが開き、オーナーと庭で作業をしていた橘くんが部屋に戻ってきた。
「咲下ー?」
橘くんの声が聞こえて、あたしはノートを閉じて枕の下に隠した。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)