逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





あの日、陽太の姿を見かけなければ、



あたしは自分の気持ちに正直になることも。



勇気を出して、もう一度橘くんに逢いにいくことも。



なかったかもしれない。



陽太と交わした約束が、あたしの背中を押してくれた。



向かう先は、橘くんのいる場所。



“死ぬ時は一緒だかんな”

“ふたりで一緒に生きるんだよっ”



あの日から1ヶ月。



“これからはずっと……咲下と一緒にいたい”



そう言ってくれた彼の元を去ってから。



1ヶ月が経っていた。



あの日、不安でいっぱいで。



いつ戻れるかもわからなくて。待ってて欲しいなんて言えなくて。



だから、もう二度と橘くんの元には戻れないって思ってた。



でも……最後にもう一度だけ。



自分の気持ちに素直になる。



振り返ると、あたしは、



自分から一度も、逢いにいったことはなかった。



いつも彼が、あたしを探してくれたから。



あたしを見つけてくれたから。



この世界のどこにいても。



いつも君が……助けに来てくれた。



逢いに来てくれた。






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橘くんに逢いたい……。

あのとき、その気持ちだけが、

あたしのすべてだった。

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