愛されてるか、愛されていないか。
子供は、ちゃんとわかってる。
誰よりも親のことを見てるから。
子供は全部感じてる。
不安になって、苦しんで。
そして、自分でも気付かないうちに、
深い傷を負ってることにあとから気づくんだ。
傷つかない人生なんてないと思う。
苦しいこともあるし、悲しい世界で生きていても、
それでも、せめて自分の親だけは。
自分のことを傷つけないで欲しいって思うんだよ。
なんであなたが父親なんだろう。
なんでこんな人があたしの父親なんだろう。
何度もそう思ったよ。
だけど、もう全部許そうって。
自分のためにも、あなたを許そうって思った。
最後まで、ちゃんとお別れを言えなかったけど……いまなら……。
あたしは、写真の中の父親を見つめた。
幸せだったときのことなんて思い出せないし、ありがとうなんて言うつもりもない。
だけど……あなたが父親じゃなければ、あたしはこの世界に生まれてなかった。
さよなら……。
さよなら……お父さん……。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)