逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





父親は、嘘つきだ。



あたしを愛してたわけじゃない。



愛してたなら、簡単に捨てたりしない。



“愛する娘を『凜』と名付けた”



この写真の中のあなたは……この時はまだ……



あたしを愛してくれてた……?



大切に想ってくれてた……?



本当のこと聞きたくたって、もう答えてくれないじゃない。



ずるいよ。



最後まで、あたしを傷つけて。苦しめて……。



このまま逃げるなんて……ずるいよ……。



あたしは写真を強く握りしめた。



唇が震えて、目を閉じる。



何でいまになって、涙が出てくるんだろう。






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あのとき、
橘くんの言葉を思い出したの。

だからあたしは、それ以上
苦しまずに済んだ。

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“許さないっていう気持ちが、自分を余計に苦しめてる気がして”

“自分が幸せになるためには、許したほうがきっとラクなんだ”



相手を憎んで生きるよりも、



相手を許して生きたほうが、自分もラクになれる。



そう言っていた橘くんの言葉を、思い出したから……。