彼女の髪の香り……甘い匂いに包まれる。
彼女の潤んだ大きな瞳に見つめられて、俺は微笑んだ。
「可愛すぎて……ヤバいな……」
そう呟いた俺は、彼女のおでこにキスをおとした。
彼女の手の上に、自分の手を重ねて優しく握りしめる。
そして彼女の頬、首筋にキスをしたあと……
「好きだよ……咲下。全部好き」
そう彼女の耳元で囁いて、彼女をぎゅっと抱きしめた――。
キミのすべてが好き。
どんなキミも。
全部がキミだから。
そんなキミを俺は愛してるから。
だからキミも、もっと自分を。
自分自身のことを好きになってあげて。
愛してあげて欲しい。
キミは、俺がこの世界で見つけた宝物。
俺が恋をした、ただひとりの人。
この世界で、たったひとりの……かけがえのないキミだから。
「ずっと、大切にする」
彼女は俺の胸の中でうなずき、俺の背中に手を回した。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)