好きだよ……咲下……。
そっと唇を離して、お互いの息が触れるほど近くで見つめ合った。
目を伏せる彼女の色白な頬が、ほんのり赤く色づく。
俺は彼女の頬にキスをしたあと、彼女の唇にもう一度キスをした。
最初のキスよりも、長く……甘いキスをした。
いまは他に何も考えられない。
咲下が好き。
その気持ちだけが、すべてだった。
キスをしたまま、彼女をベッドの上に優しく寝かせる。
唇を離し、上から彼女を見つめる俺は、彼女の頭をそっと撫でた。
「今日はこのまま……俺のベッドで一緒に寝よっか」
彼女はうなずき、俺は部屋の電気を消した。
月明かりしかない暗い部屋の中、ベッドの上で彼女と見つめ合う。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)