逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「冷たい態度とって、ごめんな」



俺に抱きしめられたまま、彼女は首を小さく横に振る。



勝手にモヤモヤして……。



くぼっちの言うとおり、ヤキモチやいたんだ。



咲下のことを信じてるから、ヤキモチなんてやかない……



そう、くぼっちには強がって言ってみたものの、



本当は自信がないからヤキモチをやいたんだと思う。



お互いの想いが通じ合って、いまこうして一緒に暮らしている。



それでもきっと。



俺のほうが、咲下のこと好きだから……。



そんなことを思ってる俺は、なんてバカなんだろう。



咲下がそばにいるだけで幸せなのに。



咲下を幸せにしたいのに。



咲下の笑顔が見たいのに。



くだらないことでヤキモチやいて、冷たい態度とってる暇があるなら、



俺が愛せばいい。



いっぱい愛せばいいだけじゃんか。



他の誰にも渡さない。



咲下を想う気持ちは、絶対に誰にも負けないから――。



「……咲下、こっち向いて?」



俺が腕の力を緩めて彼女の体を離すと、咲下は体ごと俺のほうに向き直る。