逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




俺がシャワーを浴びて出てくると、咲下は床に座って髪をドライヤーで乾かしていた。



「咲下」



俺の声に、彼女はドライヤーのスイッチをオフにして、俺の顔を見上げて何事もなかったかのように微笑む。



「ドライヤーかして?ここ座って?」



そう言って俺は、咲下からドライヤーを受け取り、彼女を俺のベッドの上に座らせた。



彼女の後ろに座った俺は、ドライヤーで彼女の長い髪を乾かしていく。



彼女の髪からシャンプーの匂いがふわりと香る。



こうして彼女の髪を乾かすのは、今日が初めてじゃない。



それでも、彼女の匂いや



サラサラな髪に触れるたび、ドキドキする。



……抱きしめたい。



こんなにも、キミのことが



言葉では表せないくらい愛しくて。



何より大切で。



ときどき、苦しくなるくらいに。



キミのことが――。



彼女の髪を乾かし終えて、ドライヤーを床の上に置いた。



「さっきは、ごめん」



そう言って俺は、彼女を後ろから抱きしめた。