逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「くぼっちは?まだ彼女と仲直りしてないの?」



くぼっちは高校の時から付き合ってる彼女と、つい最近ケンカをしてしまったらしい。



「仲直りはしてない。俺らはね、橘と咲下みたいなほのぼのカップルじゃないの」



「高校のときは、ほのぼのカップルに見えたけど?」



「だって彼女最近さぁ、何か気に入らないとすぐ“もういい”とか“もう別れる”って言い出すんだもん」



「どーせ、くぼっちが彼女を怒らせるようなこと何かしたんだろ?」



「すぐそういうこと言うよね~。おまえだけは俺の味方してくれよぉ」



「ごめん、ごめん」



俺はくぼっちの背中を優しく叩いた。



「俺、大学生じゃん?彼女、専門学生じゃん?お互いバイトとかもあるし、高校のときみたいにはいかないんだよ」



「それはわかるけどさ……言い訳するなんて、くぼっちらしくないじゃん」



「まぁ、時々俺も弱気になるときくらいあるんだよ」



そう言ってくぼっちは、砂を手でつかみ、それを指の隙間から少しずつこぼしていく。



そのこぼれ落ちていくサラサラの砂を見つめて



なんだか切ない気持ちになった。



「くぼっち……」



大切なものほど



この手から簡単に、こぼれ落ちていく。



「……彼女のこと好きなら、離すなよ?」